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工場・倉庫の暑さ対策

工場・倉庫の暑さ対策

はじめに

「工場内がとにかく暑すぎる!」
「夏場の生産性が落ちている。」
「暑さで立ちくらみなどの体調不良を訴える従業員がいる。」
「従業員が熱中症になってしまった。」
「工場内が暑すぎて離職率が高い。」

工場や倉庫が暑すぎることで、従業員からこのような声が上がっていませんか?
6月から10月頃まで厳しい暑さが続き、空調の整備されていない工場や倉庫での勤務は年々過酷さが増しています。

朝礼などで従業員の顔色や体調管理を行う、適切な水分補給や塩分摂取、暑さ対策グッズ(空調服やアイスベスト等)を活用するなど、個人でできる暑さ対策、熱中症対策を行うことは重要なことです。

しかし、工場や倉庫の改修、空調や換気設備導入による根本的な働く職場環境の改善が重要なことは言うまでもありません。ただし、空調や換気設備は電力を使用して強制的に室内の温度を下げていきます。工場や倉庫は体積が非常に大きいため、適温と呼ばれる28℃にするためには、莫大な空調エネルギーを必要とします。昨今の電気料金値上げによる固定費の負担は大きくなっていきます。既に消費電力量を計画的にコントロールする「デマンドコントロール」を導入している企業は新たな空調導入に慎重にならざるを得ません。

そこで今回は、工場や倉庫が暑くなる主な原因と効果的な暑さ対策についてご紹介していきます。

工場が暑くなる原因

1.1構造上の原因
工場や倉庫などの建物は通常、大きな壁面と広い屋根を持っており、太陽から降り注ぐ熱線の影響を受けやすいため、高温となりやすい構造をもっています。外壁や屋根には鋼板やスレートなどの熱を伝えやすい材料を使用して作られていることも熱を室内に伝えている原因となっています。
その結果、夏場の工場や倉庫では室内温度が摂氏40℃を超えることはよくあります。
厚生労働省の暑さ指数(WBGT値)基準によると、工場や倉庫内での作業において、WBGT値31℃以上はその環境で作業をせずにじっとしているだけでも体内に熱がたまるような危険な状況といえます。こういった工場や倉庫は、暑さ対策を考えていきましょう。

1.2空調効率が悪い
一般的な工場や倉庫は「大きな機械を搬入・設置できる」「荷物をたくさん積むことができる」などの理由から、天井を高くしています。天井が高くなると、空調効率が悪くなるため、冷房を稼働しても室内がなかなか適温まで下げることができません。さらに工場は衛生・精密管理が必要、近隣に迷惑をかけたくない等の理由で窓が少ないなど、空気の循環が悪いケースがあります。

1.3冷房をつけられない環境下である。
工場や倉庫で製造したり、取り扱っている商品によっては空調機を設置できない建物もあります。
そういった場合には、スポット的なクーラーを設置したり、扇風機を置くなど、対策を考える必要があります。

1.4熱を発する機械が設置してある。
ヒーター・乾燥炉・蒸気配管・穴開け機等、熱源となる設備がある場合にも、工場内の温度は上昇し、空調が効きづらくなります。この場合も吸排気設備を導入するなどの換気対策が必要となります。

熱とはなにか

2.1原子・分子は常に運動をしている。
私たちが日常働いている職場で「温度が高い」とか「機械の周りが暑い」といった表現を使いますが、そもそも熱や温度の正体とはなんでしょうか?

私たちの世界は物質でできていて、その物質はさらに小さな分子や原子でできています。「モノは原子と分子でできている」という中学生が理科で習う一般常識が、熱や温度の正体を見極めるための鍵になります。
この世界を構築する原子は常にランダムに振動をしています。静止している様に見えてもミクロな視点で観察すると物質を構成する原子は振動をしています。

2.2熱の正体
あらゆる原子と分子は熱運動をしていることが分かりました。この「熱」とは熱運動の運動エネルギーのことを「熱」と呼びます。激しく運動すればするほど、その物体は熱を持っているといえます。
物体を触って熱い・冷たいと感じるのは「分子の振動の激しさ=熱」を振れた部分を受け取ることで起きる現象です。この熱の伝わりやすさを熱伝導率と呼びます。例えば同じ温度の金属と木材をそれぞれ触ると、金属の方が冷たく感じるのは金属の熱伝導率が木材より高いために起こります。

2.3温度とは
痛いほどに冷たい空気や、うだるように暑い空気、そんな違いを生み出しているのは、空気中を飛びかう気体分子の「動きの激しさ」です。高温の気体では、気体分子はより速く飛んでいて、反対に低温の気体では、気体分子はよりゆっくりと飛んでいます。液体や固体でも、原子や分子の運動の激しさによって、温度が決まります。気温が高い時に暑く感じるのは、気体分子が体には激しくぶつかることで、気体分子の運動エネルギーが体へと移り、その部分の温度が上がるからです。

熱を伝える3つの方法

3.1熱移動の三原則
熱を移動させる方法は「伝導」「対流」「輻射」と3つの方法で移動します。熱は高温側から低温側へ伝わっていきます。両者の温度が等しくなると熱移動がなくなります。この状態を「熱平衡」と呼びます。

3.2伝導熱(伝導)移動
熱伝導(伝導)とは物体と物体が密着することによって伝わる熱移動のことです。例えばアイロンでワイシャツのしわを伸ばす際にアイロンから発する熱がワイシャツに熱が伝わっていきます。

3.3対流熱移動
液体や気体の温度が違う場合、温度が高い部分は上に、温度が低い部分は下に移動する、場所により温度が異なる液体や気体が移動する現象を対流といいます。エアコンは冷風や温風を作り出して部屋を強制的に対流させることで温度調節を行っています。上昇気流や下降気流が生じて大気の動きがおこることも対流の一例になります。

3.4輻射熱移動
輻射熱は熱線(電磁波)が熱を伝えますが、さらに詳しく言えば赤外線による熱移動です。高温の固体表面から低温の固体表面に、その間の空気その他の気体の存在に関係なく、直接赤外線による伝わり方を輻射といい、その熱を輻射熱(=放射熱)と呼ばれます。
赤外線が物体に当たるとその物体の分子が振動することで 物体が熱を帯び、また赤外線として放射するのです。例えば屋根上から下方への熱の流れは輻射熱移動が93%、伝導熱が5%~7%となります。

3.53種熱移動の比率
建物を熱が通過していくときの割合と対策資材があります。
「伝導熱」=5%、対策資材:繊維系断熱材や発泡系断熱材
「対流熱」=20%、対策資材:繊維系断熱材や発泡系断熱材
「輻射熱」=75%、対策資材:遮熱材

断熱材と遮熱材の違いについて

4.1断熱材と遮熱材の違い
断熱材と遮熱材はそれぞれ役割が異なります。断熱材は「熱の伝わるスピードを遅くする」材料となっており、遮熱材は「熱(輻射熱)を反射させて跳ね返す」材料です。

4.2断熱材
断熱材(熱伝播遅行型蓄熱素材)は太陽からの熱線(電磁波)を吸収して熱の伝わりを遅らせる材料になります。国内の住宅に断熱材が使用されるようになったのは昭和45年(1970年)頃からと言われています。当時は断熱材の施工方法が確立しておらず、誤った方法で施工されていることが多く、結露からくるカビの発生など、問題も多くありました。そこでこれらを解消する為に、「通気工法」や「防湿気密層」といった工法が考えられるようになりました。
断熱材は伝導熱(5%)や対流熱(20%)を対策するのに効果があります。

4.3遮熱材(リフレクティックス)
遮熱材は宇宙産業の反射絶縁素材を地球環境に応用させた材料になります。
弊社の扱う遮熱材リフレクティックスは熱線(電磁波)を反射させて赤外線による輻射熱移動を99%カットします。構造は両面が高純度アルミ箔(純度99.99%)に2枚のバブルポリエチレンシートと3枚のポリエチレンシートが内蔵された単純構造体です。7層構造を支えるために接着剤ではなくプラズマ溶着式を採用しており接着剤を使用していませんので、接着剤からの劣化や剥離を防ぐことができます。
遮熱材は輻射熱(75%)を対策するのに効果があります。

熱線をカットする決め手は反射率の高いアルミ箔

5.1アルミ箔(俗称:銀紙)
アルミ箔の定義はJIS規格では厚さ0.006㎜~0.2㎜のアルミニウム圧延素材をアルミ箔と呼びます。
アルミ箔は純度の比較的高いアルミニウムを使用しており、無味、無臭です。そのため、食料品、薬品等の包装材に使用されています。
熱伝導性・遮熱性に優れています。アルミ箔は、他の金属に比べて熱をよく伝えます。(鉄の3倍)一方光線や熱線をきわめて良く反射する特徴があります。
いろんな用途に使用されている。アルミ箔は、単体あるいは他の素材と組み合わせて、遮光、赤外線反射、電磁遮蔽、酸素遮蔽、耐油、耐水、耐熱の機能を活かして多様である。厚さによって食品容器、長期保存飲料容器の内壁、錠剤パッケージ、保温容器、電子機器内壁の電磁保護、タバコなどの防湿用包装材などに使用されています。

5.2アルミ蒸着(紙またはフィルム)
アルミニウムを真空状態で加熱蒸発させた微粒子をフィルム(紙またはフィルム)面に付着させたもので、表面を全て覆ったようにはなりますが粒子と粒子の間には隙間があります。アルミ箔ほどの精度がでにくい。(反射率30%~50%)軽くて折り曲げにも対応がとれるのでお菓子の包装材や乾燥食品用、商業印刷として、ポスター、カレンダー、表紙、ブックカバー等の印刷物に使用されています。ホームセンターやカーショップ等で販売されているフロントガラスに設置する、サンシェード等はアルミ蒸着で作られています。

遮熱材リフレクティックスを使用した暑さ対策の方法

 

6.1屋根カバー工法(スレート屋根、金属屋根)
既存の屋根の上に新しい屋根材を葺くカバー工法。スレート屋根、金属屋根ともに専用の特許金具 を使用し短期間で施工が可能です。無塵でゴミを出さない独自の工法で工場や倉庫の稼働を止めることなく施工することができます。

6.2天井工法
金属製の折板屋根がまだ新しい、屋根上に太陽光発電を設置してある場合には屋内側から天井工法で施工が可能です。工場や倉庫の稼働に影響が出るため、実際に施工する際には入念な打合せが必要です。

遮熱材リフレクティックスを使用すると冬が寒くなるのでは?

 

7.1冬の寒さ対策
遮熱材リフレクティックスは、室外の冬の冷気を反射して夏と同様の効果を発揮します。同時に室内の暖気を逃がさないので、少ない暖房エネルギーで暖かく快適な職場環境を保ちます。冬場の熱の損失も、夏場の熱侵入と同様に屋根、壁、床からの赤外線放射による移動が多くを占めています。遮熱材リフレクティックスは今まで室内から赤外線によって逃げていた暖気を室内に閉じ込めます。この遮熱工法は元々、寒さ対策を目的とした寒冷地工法として生まれ、カナダがその発祥の地です。

7.2結露・カビ対策
遮熱材リフレクティックスの働き
・透湿性を持たないため、外部の水蒸気の流入を防ぐ。
・両面アルミ箔が内外の空気温度に同調し建物内外の温度差を絶縁。
・赤外線反射層(壁体内)の温度が数度高く、壁体内で低温空間が発生しにくい。
結露のメカニズム
空気中には目に見えない水蒸気が含まれています。空気は高い温度のときほど多く水蒸気を含むことができ、それぞれの温度で最大限含みうる水蒸気の量を「飽和水蒸気量」といいます。暖かい水蒸気をいっぱい含んだ空気が冷やされ、「飽和水蒸気量」を超えると余計な水蒸気が水に変わります。これが結露の発生する仕組みで、乾いたグラスにビールを注いだ瞬間に水滴が付着するのも同じ現象です。遮熱材リフレクティックスを施工することで、水蒸気の流入を防ぎ、建物内外の温度差を絶縁することで、結露が起こりにくくなりカビの発生を防ぎます。

遮熱材リフレクティックスを使用することで空調光熱費削減、CO2排出削減ができます。

8.1空調高熱費削減
遮熱材リフレクティックスを施工した建物は外気の影響を受けにくくなるため、空調機の使用頻度が減ります。また空調機の能力も小さくて済むことから、空調光熱費の削減につながります。実際に省エネシミュレーションをして最大63%の空調光熱費を削減した事例もあります。

8.2CO2排出削減
空調機の使用頻度や空調機の能力を削減することにより従来通りの空調光熱費と遮熱施工した空調高熱費の差額を出すことによって、CO2排出量を算出することができます。

まとめ

工場や倉庫の暑さは、従業員の健康リスクや生産性の低下、離職率の上昇など、深刻な影響を及ぼす問題です。特に建物の構造や空調効率の悪さ、設備からの熱放出などが原因となり、室内温度が40℃を超えることもあります。
個人でできる対策も重要ですが、根本的な解決には、空調・換気設備の導入や建物自体の改修が必要です。
特に、遮熱材「リフレクティックス」のような素材は、夏の暑さを遮断し、冬の寒さにも対応することで、年間を通じて快適な作業環境を提供しつつ、空調コストの削減やCO2排出削減にも貢献します。
これらの暑さ対策を組み合わせ、従業員にとって働きやすい環境を整えることが、長期的な生産性の向上と企業の持続可能な発展に繋がるでしょう。